交通の中心都市・豊橋と「市電」<『かがやく豊橋』①>
新幹線や路面電車をはじめ、豊橋駅を発着する鉄道・バス路線は、市内外を結ぶ基幹的な公共交通機関としてだけでなく、まちなかの賑わいの創出にも大きな役割を果たしています。
交通の中心都市・豊橋
豊橋市内では、鉄道路線としてJR東海道新幹線、JR東海道本線、JR飯田線、名鉄(名古屋鉄道)名古屋本線、豊橋鉄道渥美線、豊橋鉄道東田本線(市電、市内線、路面電車)が、路線バスとして豊鉄バスが運行されており、いずれも東三河の玄関口・豊橋駅を中心とした放射状の路線網を形成しています。
また、ターミナルとなる豊橋駅は、東海道新幹線ひかり(最短)で東京駅から80分程度、新大阪駅から90分程度といった具合に、首都圏や関西圏からのアクセス性にも優れていることから、豊橋駅を経由しての各方面への移動は、ビジネスや観光などの可能性を大きく広げています。
現在の豊橋駅舎は、東西自由通路を併設する橋上駅舎で、東口駅前広場の整備は1998年(平成10年)に完成しました。約5,000m2のペデストリアンデッキが整備され、デッキ下の1階部分にはバス・タクシー・路面電車といった公共交通機関のターミナル機能が集約されています。
ええじゃないか豊橋・アクセス|豊橋市
公共交通事業者一覧|豊橋市
豊橋市公共交通マップ|豊橋市
JR東海道新幹線「ひかり」
豊橋駅(東口)
まちなかの賑わい創出
交通の利便性が高い豊橋駅周辺地区(東口)では、幾つもの再開発事業が進められています。2008年(平成20年)に竣工した16階建ての複合ビル「COCOLA FRONT(ココラフロント)」と2021年(令和3年)にEAST(東棟、24階建ての複合ビル)が開業した「emCAMPUS(エムキャンパス)」がその代表で、後者には新しいタイプの市立図書館(豊橋市まちなか図書館)が入っています。
シーンとした静寂な空間(もちろん飲食は不可)の中で本を読んだり調べ物をしたり・・・という従来の図書館の雰囲気とは大きく異なり、まちなか図書館では、BGMが流れる中でコーヒーを飲みながら読書にふける、トークイベントに参加して仲間とコミュニケーションする・・・といったことが可能です。世界を広げ、まちづくりに繋げる「知と交流の創造拠点」、それが豊橋市まちなか図書館のコンセプトとなっています。
また、2024年(令和6年)に竣工予定のemCAMPUS WEST(西棟)との間の中間スペースには「まちなか広場」が整備されており、さまざまなイベントの拠点として、まちなか(中心市街地)における賑わいの創出に大きく貢献しています。
民間再開発事業の支援|豊橋市
COCOLA FRONT(ココラフロント)
emCAMPUS(エムキャンパス)
豊橋市まちなか図書館
まちなか広場の整備|豊橋市
豊橋まちなか情報ステーション|豊橋まちなか未来会議(事務局:株式会社豊橋まちなか活性化センター)
emCAMPUS(エムキャンパス)
「まちなか広場」で開催されるイベント
冬の風物詩「とよはしキラキラ☆イルミネーション」
社会科副読本『かがやく豊橋』で学ぶ、国土(郷土)とインフラ
私が現在生活している愛知県豊橋市では、市の教育委員会が学習指導要領に沿った小学校3・4年生向けの社会科副読本(補助教材)を作成しています。この副読本『かがやく豊橋』には、交通インフラ(鉄道、道路、空港・港湾)の整備による地域・産業の発展、災害への備え(霞堤や豊川放水路の整備による治水安全度の向上、豊橋市洪水ハザードマップの作成・配布など)、郷土の発展と先人の努力(神野新田の干拓と牟呂用水、高師・天伯原の開拓と豊川用水)、上下水道事業の役割と効果など、国土・インフラ教育の優れた素材が数多く載録されています。
今回のテーマ「交通の中心都市・豊橋」に関しては、副読本の第1章第3節「1.わたしたちのまち豊橋(3)交通の中心都市」において、豊橋市内を走る鉄道の路線図が掲載されているとともに、「豊橋駅に集中する交通」という小見出しで、次のような説明がなされています。
また、続く、第1章第4節「(4)豊橋市の各地の様子」の冒頭「多くの人が集まる駅前」では、豊橋駅周辺の数々の写真とともに、人々で賑わう豊橋駅周辺地区(東口)の様子が具体的に紹介されています。
社会科副読本『かがやく豊橋』(豊橋市教育委員会)の学習コンテンツ
市民の足『市電』-豊橋鉄道市内線-
豊橋市のシンボルとなっている路面電車「豊橋鉄道東田本線(市内線)」。大正14(1925)年に開業した路面電車は、今でも市民の足として「市電(しでん)」の愛称で広く親しまれており、豊橋駅から豊橋の中心部を経由して市東部の住宅地を結ぶ5.4㎞の路線を走り続けています。
また、近年では、路面電車に乗りながらビールやおでんを楽しむことのできる「納涼ビール電車」や「おでんしゃ」、路面電車の車内で絵本の読み聞かせを行う「おはなしでん」など、毎年様々なイベント電車が運行されており、市内の基幹的な公共交通機関としてだけでなく、まちなかの活性化という意味でも重要な役割を果たしています。
副読本『かがやく豊橋』は、路面電車(市電)のことを次のように紹介しています。
路面電車について|豊橋市
豊橋鉄道市内線|豊橋鉄道
豊橋市 路面電車|愛知の公式観光ガイド AICHI NOW
この豊橋市電を、永年支え続けてくれているのが1990年(平成2年)設立の市民団体「とよはし市電を愛する会」です。4月10日の『市電の日』や6月10日の『路面電車の日』には市民ぐるみの楽しいイベントを企画・実践してくれています。また、「豊橋・市電唱歌」の制作や伊奈彦定先生の描くカレンダー「市電のある風景」やポストカードの発行は多くの市民に親しまれています。
とよはし市電を愛する会
「とよはし市電を愛する会」30周年展(2022年4月10日掲載)|東愛知新聞
豊橋市公会堂前を走る市電
市電が走るまち・豊橋(全面低床電車「ほっトラム」)
郊外部を走るコミュニティバス
鉄道路線が走っておらず、路線バスも廃止された地域などのいわゆる「公共交通空白地域」では、通勤や通学、通院、買い物など、日常の移動手段を確保するため、地域住民の皆さんとの協働でコミュニティバス(「地域生活」バス・タクシー)が運行されています。
路線バスについて|豊橋市
コミュニティバス|豊橋市
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現在、私たちが享受している安全で快適な生活は、先人たちが森林や田畑、鉄道や道路を整備し、川を治め、水資源を開発するなど、絶え間なく国土に働きかけを行うことによって、国土から恵みを返してもらってきた歴史の賜物です。したがって、現代に生きる私たちも、国土に対して働きかけを続け、将来世代に対して、より良いインフラを引き継いでいかなければなりません。
皆さんの地域にある小学校3・4年生向けの社会科副読本(補助教材)を、一度手に取ってみてください。これまで知らなかった身近な地域の地理や歴史、郷土のインフラの価値について、新たな気付きを得ることができるでしょう。
(今回の舞台)
(2023年01月01日)