地域を支え、観光客を誘致する「肥薩おれんじ鉄道」
★通学・通勤をはじめ、沿線地域の日常生活を支えている「肥薩おれんじ鉄道」。観光列車『おれんじ食堂』を起爆剤として、交通インフラから地域振興インフラへの進化が期待されている。
「熊本県と鹿児島県、そして沿線の10市町等(当時)が出資し、第三セクター鉄道会社として平成14年10月31日設立した「肥薩おれんじ鉄道株式会社」は、今も故郷への愛着を込めて呼ばれている旧国名肥後と薩摩の頭文字と風光明媚な海岸線が連なる甘夏みかんなど柑橘類の産地を走る鉄道をイメージして名付けられました。 この肥薩おれんじ鉄道は、熊本県と鹿児島県両地域の人々のふれ合いや愛を結ぶための、安全で安定した輸送手段として、また、地域に密着した観光や産業の活性化の役割を担い続ける鉄道としての大きな期待が寄せられています。」(肥薩おれんじ鉄道株式会社ホームページ・会社概要)
肥薩おれんじ鉄道(公式WEBサイト)↓ http://www.hs-orange.com/
「肥薩おれんじ鉄道」は、熊本県の八代駅と鹿児島県の川内駅の116.9kmを結ぶローカル鉄道。元々はJR九州の鹿児島本線の一部であったが、2004年の九州新幹線(新八代-鹿児島中央間)の先行開業にあわせて経営移管された。 通学・通勤をはじめ、沿線地域の日常生活を支えている「肥薩おれんじ鉄道」は、その一方で、多くの区間が八代海(不知火海)や天草灘(東シナ海)沿いを走ることから、美しい車窓が楽しめる観光路線としても知られている。とりわけ、「たのうら御立岬公園駅」から「日奈久温泉駅」までの区間は、海のすぐ脇(横)を線路が走っていることから、天草諸島の島影を背景とした八代海が車窓いっぱいに広がることで有名で、みかん畑に彩られた山々の風景とのコントラストを織りなしている。 また、「肥薩おれんじ鉄道」沿線は、日奈久温泉、御立岬温泉、津奈木温泉、湯の児温泉、湯の鶴温泉などの温泉地や、地域の歴史や自然を活かした観光スポットにも恵まれている。
肥薩おれんじ鉄道「沿線まち歩きガイド」↓ http://www.hs-orange.com/common/img/top/ensenguide.pdf
(肥薩おれんじ鉄道・車窓からの風景)
(日奈久温泉:八代市)
(徳富蘇峰・蘆花生家:水俣市)
そして、「肥薩おれんじ鉄道」の売りは、なんといっても観光列車『おれんじ食堂』。車窓からの美しい景色を楽しみつつ「ゆったり、のんびりとしたスローライフな旅を楽しむ」ことをコンセプトして設定された『おれんじ食堂』は、新八代駅~川内駅間を快速運行する特別仕様2両編成(ダイニングカーとリビングカー)のレストラン列車で、金曜と週末、春休み、夏休みなどの行楽シーズンを中心に運転されている。 沿線の旬な食材を使った料理やスイーツを堪能しながら、車窓からは美しい景色を満喫することができる、というのが一番の特徴で、平成25年(2013年)3月の運行開始以来、県内外はもとよりインバウンドを含め多くの利用客で賑わう。交通インフラとしてだけでなく、鉄道そのものが観光スポットとなり観光客を誘致している、それが『おれんじ食堂』というわけだ。
観光列車「おれんじ食堂」↓ http://www.hs-orange.com/kankou/
開業以来、様々なチャレンジを続けている「肥薩おれんじ鉄道」ではあるが、営業距離が長い割に沿線人口が少ない地域が多いこともあって、(熊本県・鹿児島をはじめとする沿線自治体の支援を得ながらも)依然として経営は厳しい状況にある。しかし、「肥薩おれんじ鉄道」の社員やスタッフ、沿線住民は、こうした逆境にも負けず、利用者へのサービス向上、地域インフラの継続、そして地域振興へと力を合わせている。
「おれんじ鉄道物語」(西日本新聞2017.9.26~10.4)↓ https://www.nishinippon.co.jp/keyword/173/
(観光列車『おれんじ食堂』)
(くまモン×おれんじーずラッピング列車)
(一般車両)
※白色をベースに、沿線の産物である柑橘系のオレンジ色と、青い海のブルー、豊かな大地を表すグリーンの3本のラインが入っている
(今回の舞台)
(2017年11月12日)