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豊前街道、三池往還の今昔

★北九州市から、福岡市を経て福岡県西部・熊本県西部を縦貫し、熊本市に至る近世の「豊前街道」ルートは、古代~中世は西海道を代表する「官道」として、現在は九州自動車道や国道3号が通る「九州の背骨」として、歴史的な時間軸で重要な役割を果たし続けている。三池往還には、激戦地「田原坂」や「高瀬」など西南戦争に縁のある史跡が数多く遺されている。

【豊前街道】 熊本を起点として北上。植木、鹿央、山鹿、和水から南関を経て豊前・小倉に至る道のことを熊本では「豊前街道」という。江戸時代、参勤交代道として栄え、大名行列の休憩処が設けられるなど、街道沿いの町は賑わいをみせた。

 くまもと四街道をめぐる「豊前街道」(熊本県菊池地域振興局)↓ http://kumanago.jp/contents/yonkaido/map_buzen_index.html

 歴史回廊ロマン・豊前街道散策マップ(熊本県鹿本地域振興局)↓ http://www.pref.kumamoto.jp/kenhoku/kiji_7313.html

 なお、肥後の南北交通路は、延喜式(平安時代中期に編纂された格式(律令の施行細則))の官道時代から概ねこのルートを通っていた。この時代、都(朝廷)から地方への法令の伝達のため、駅家(うまや)を一定間隔で配置し、馬を乗り継いで行かせる方法をとっていた。九州(西海道)の場合、大宰府が道路網の中心でもあり、肥後国には、大水(おおむつ=現在の南関町)、江田(現在の和水町)、二重、蚊藁(かわら)、高原(現在の熊本市植木町)、蚕養(こかい=今の熊本市子飼)、球磨、長崎、豊向(とよむく)、高屋、片野、朽網(くたみ)、佐敷、水俣、仁王という15の駅があった。

 肥後国くまもとの歴史「熊本の奈良時代 古代の官道」↓ http://yumeko2.otemo-yan.net/e735930.html

(豊前街道の町並み:山鹿市)

※昔から湯のまちであった山鹿は宿場町、文化の中心として栄え、重厚な貫禄が町並みに残っている。

(八千代座:山鹿市)

(さくら湯:山鹿市)

 The豊前街道(山鹿温泉観光協会)↓ http://www.y-kankoukyoukai.com/buzen.php

 豊前街道 | 山鹿ガイド(山鹿市地域振興公社)↓ http://yamaga.site/?tourist=%E8%B1%8A%E5%89%8D%E8%A1%97%E9%81%93

(車返りの坂)

(腹切坂)

(腹切坂)

(南関御茶屋跡)

※南関町は、熊本県の北西端に位置する。古代の官道や豊前街道が通り、官道の駅「大水駅」や国境警備のための関所・番所、豊前街道の肥後国内における最終の休憩・宿泊地が設けられるなど、昔から交通の要衝として発展してきた。現在も、国道443号だけでなく、九州自動車道が此の地を通過し、南関インターチェンジが設けられている。

(筑後との境碑「従是西北 筑後柳川領」)

【国道3号、443号】  この「豊前街道」のルートは、現在の幹線道路でいうと、熊本(起点)~山鹿までは国道3号、山鹿~南関(福岡県境)までは国道443号にほぼ並走する。  国道3号は、福岡県北九州市門司区から、福岡市を経て福岡県西部・熊本県西部を縦貫し、熊本市を経て九州西岸部を南下し、鹿児島県鹿児島市へ至る一般国道で、古代~中世は西海道を代表する官道として、近世は九州を代表する街道として、歴史的にも重要な役割を果たしてきた。まさに「九州の背骨」である。  熊本県内の豊前街道並行区間のうち、熊本中心部~植木インターチェンジまでの国道3号は、特に交通渋滞が著しく、バイパス(国道3号・植木バイパス)の早期整備が求められている。

 国道3号・植木バイパス(九州地方整備局)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/site_files/file/s_top/jigyo-hyoka/141003/siryou11.pdf

 一方、国道443号は、福岡県大川市から熊本県八代郡氷川町に至る一般国道で、豊前街道と並行する大川~南関(県境)~山鹿までの区間は、国道3号が福岡・熊本県境部で通行不能になった場合の広域迂回路としても重要な役割を果たす。

【三池往還】  「三池往還」は、植木町味取(熊本市)で豊前街道から分岐し、玉東町木葉、玉名市高瀬を経て、荒尾から国境を越えて筑後の三池に入り、柳川を経て、長崎に通じている。此のルートは、当時、大砲を乗せた軍事車両が走行できる唯一の道路であったことから、激戦地「田原坂」や「高瀬」など西南戦争に縁のある史跡が数多く遺されている。

(田原坂:植木町)

(田原坂:植木町)

(高瀬:玉名市)

(遺跡案内「高瀬大会戦」:玉名市)

(「高瀬裏川花しょうぶまつり」:玉名市)

【国道208号】  この「三池往還」の熊本県内のルートは、現在の幹線道路でいうと、概ね国道208号に並走する。  国道208号は、熊本市から福岡県筑後地方を経由して佐賀市に至る一般国道であるが、玉名市の中心市街地を通過する区間において、域内交通と通過交通が混在し、著しい渋滞が発生していた。これに対し、国土交通省(熊本河川国道事務所)は「玉名バイパス」の整備を行なうことで、国道208号現道の渋滞緩和を図るとともに、九州新幹線・新玉名駅へのアクセスビリティを高めている。

 国道208号・玉名バイパス(九州地方整備局)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/site_files/file/s_top/jigyo-hyoka/160118/s6-3.pdf

(今回の舞台)

(2017年7月02日)

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