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豊かな水源・自然・史跡・文化財を流域に持つ「緑川」

 ★熊本地震では緑川本川・支川の堤防だけでなく、流域の史跡や文化財も大きな被害を受けた。早期の復旧・復興が期待される。

 熊本河川国道事務所(国土交通省)のホームページによると、緑川は、その源を熊本県上益城郡山都町の三方山(標高1,578m)に発し、御船川等の支川を合わせて熊本平野を貫流、下流部において加勢川、浜戸川、天明新川を合わせ有明海に注ぐ。 http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/river/midorikawa/gaiyou.html

【豊富な地下水脈】  緑川流域には豊富な地下水脈が存在し、水前寺、江津湖をはじめ多くの湧水や自噴帯を形成しており、下流部の自治体のほとんどは水道水源をその豊富な地下水に依存している。 江津湖は、熊本市街地にある約40万トン/日の湧水が湧き出る全国でも有数の湿地で、希少種が生息する湖沼や湧水池の一つとして環境省から「日本の重要湿地500」に選定されている。  嘉島町の浮島神社の境内地にある「神の池」は、1日の噴出量は約13万トン。現在は65haの灌漑を担っている。名水の誉れも高く、農林水産省の「ため池百選「浮島」」、環境省の「平成の名水百選「六嘉湧水群・浮島」など数々の賞を受賞している。また、「嘉島湧水天然プール」は、湧水の中に作られている全国でも稀なものであり、夏期には町内外から多数の人々が清涼を求めて訪れている。

【緑川流域の文化財及び史跡等】  緑川流域の文化財及び史跡等は、国指定・県指定を併せて50件を超え、歴史的にも重要なものが多く存在している。  特に、国指定文化財である「通潤橋」、「霊台橋」を筆頭に数多く存在する石橋は代表的なものとなっており、これらの石橋は、旧街道、往還(集落の道)上に広く分布し、現在でも交通路として利用されているものも多い。  また、加藤清正が築造したともいわれる河港跡「川尻の船着場跡」(国指定史跡:熊本市)も緑川流域を代表する史跡の一つである。 http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/river/midorikawa/tokusei.html

【熊本地震からの復旧・復興】 熊本地震(前震・本震)の震央から近い距離にあるため、緑川本川・支川の河川堤防も大きな被害を受けた。熊本県内を流れる一級河川(白川水系、緑川水系、菊池川水系、球磨川水系の国土交通省管理区間)で確認した172箇所の堤防等の変状のうち、緑川水系の変状は127箇所(7割以上)に及んだ。現在は、応急・緊急復旧工事を終え、平成29年梅雨時期までを目途に、本復旧工事が進められている。 http://www.qsr.mlit.go.jp/bousai_joho/tecforce/pdf/kasen.pdf  上流域にある国指定文化財「通潤橋」も、橋上にある通水石管の継目から著しい漏水が生じるなど、大きな被害を受けた。通潤橋本体だけでなく、周辺部でも水路法面の崩落等が生じているため、通潤橋の本格的な復旧工事に着手できるのは、現時点で平成29年度以降とされている。通潤橋の建設に尽力した惣庄屋・布田保之助を祀る「布田神社」も被災し、鳥居が崩れ、石碑や玉垣が倒壊するなど、無残な姿のままだ。 https://www.sankei.com/photo/story/news/160502/sty1605020019-n1.html  いずれも、早期の復旧を期待したい。

(緑川・本川上流:2015年12月)

(通潤橋:2016年1月)

(霊台橋:2016年1月)

(支川・御船川:2015年12月)

(支川・加勢川:2015年12月)

(支川・浜戸川から河口を望む:2015年12月)

(緑川復興イベント:2016年10月)

(今回の舞台)

(2016年10月23日)

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