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益城町のインフラ復旧と復興まちづくり

平成28年熊本地震で最も被害の大きかった益城町で、「県道28号熊本高森線の4車線化」と「益城中央被災市街地復興土地区画整理事業」が本格的に動き出した。熊本地震からの復興のシンボルとなる素晴らしい「まちづくり」が実現することを願ってやまない。

【国道443号寺迫地区の応急復旧】  平成28年4月14日21時26分、熊本県熊本地方を震央とするマグニチュード(Mj)6.5の地震が発生(前震)、さらに、その28時間後の4月16日1時25分にはMj7.3の地震が発生し(本震)、益城町では震度7を2回観測する事態となった。  前震段階で既に甚大な被害が発生していた益城町では、町内の主要幹線道路である国道443号(熊本県管理)も壊滅的な被害を受け、4月14日から全面通行止めを余儀なくされていた。  被災地への緊急物資輸送や緊急車両の通行確保のため、一刻も早い復旧が望まれる中、TEC-FORCE(災害応急対策に対する技術的な支援を円滑かつ迅速に実施するために国土交通省に設置されたチーム)による現地調査や、国土技術政策総合研究所・土木研究所の専門家チームによる技術指導のもと、熊本河川国道事務所による工事監督支援及び重機投入が行われ、4月20日昼には交通開放することができた。  この復旧スピードに対して海外(中国)メディアは、「神速」であると伝えつつ、台湾や中国のネット上でも「敬服せざるを得ない」、「なんて凄い国だ」などと驚きの声があがったと伝えていた。

 平成28年(2016年)熊本地震(気象庁)↓ http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/2016_04_14_kumamoto/index.html

 平成28年熊本地震 益城町による対応の検証報告書(益城町)↓ http://www.town.mashiki.lg.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=76&id=1217&sub_id=1&flid=4657

 益城町寺迫地区の国道443号が走行可能に(国土交通省)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kisyahappyou/h28/data_file/1461808176.pdf

 これぞ神速!熊本地震の被災地における道路復旧の速度に驚き=中国(searchina)↓ http://news.searchina.net/id/1608656?page=1

(国道443号益城町寺迫地区の現在)

【木山川・秋津川など緑川上流支川の河川堤防の復旧】  熊本地震では、河川堤防も大きな被害を受けた。このうち、国土交通省が直轄で管理している一級河川・緑川と一級河川・白川の河川堤防については、平成29年の梅雨期を前に全ての災害復旧工事が完了しているが、一方で、益城町を流れる緑川上流支川の「秋津川」や「木山川」(いずれも熊本県管理)の災害復旧には、かなりの時間を要している。  これには、秋津川や木山川が、布田川断層の北側に沿って流下する河川であり、断層地震による広域地盤沈下の影響を最も受けた(木山川上流端部では最大2m程度の沈下が推定されている)という背景もあるのだが、早期の復旧完了が待ち望まれている。

 熊本地震で被災した白川・緑川の堤防の災害復旧が完了(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/newstopics_files/k170530-02.pdf

 熊本地震からの復旧・復興(熊本県)↓ http://concom.jp/contents/seminar/201704/pdf/material03.pdf    ※「河川(木山川・秋津川など)」についてはp33~p40参照

(災害復旧工事が進む木山川の状況)

(秋津川の堤防復旧はまだまだこれから)

【県道28号熊本高森線の4車線化と復興土地区画整理事業】  熊本地震からの復旧・復興を進める益城町と熊本県にとって、その中核となるプロジェクトが「益城中央被災市街地復興土地区画整理事業」。そして、この区域の中には、県が既に重点的な整備を進めている「県道28号熊本高森線の4車線化」も含まれている。  「県道28号熊本高森線の4車線化」は、熊本県が「創造的復興に向けた重点10項目」の一つに位置づけている「熊本地震からの復興のシンボル」となるまちづくりプロジェクト。熊本地震により沿線家屋が倒壊し、避難や支援、復旧活動に支障を来した益城町市街地において、骨格となる県道熊本高森線(都市計画道路名: 益城中央線)を4車線化することにより、防災機能の向上を図るとともに、創造的復興につながるまちづくりを加速化させる目的で実施されている。  住民説明会の開催(平成28年12月)、都市計画決定(平成29年2月)、事業認可(平成29年3月)を経て、現在は、平成 31年度までのモデル地区の先行整備を目標として、鋭意事業が進められている。  また、これを追いかけるかたちで益城町が中心となって進められてきたのが「益城中央被災市街地復興土地区画整理事業」の計画づくり。町の計画によると、施行区域は県が4車線化を進める県道熊本高森線の木山交差点周辺の28.3ヘクタール。町役場や町文化会館がある中心市街地で、商業地や住宅地、災害時の避難場所となる公園などを整備したり、道路幅を広げたりする。  この復興土地区画整理事業に対しても、町の要望を受けた県は全面的な支援を表明。事業主体として概算で約38億円の県費投入を決め、県議会も土地の先行取得費7億3300万円の予算追加を認めた。しかし、昨年12月25日に開催された町の都市計画審議会(都計審)は「住民の合意形成が十分ではない」として反対多数でこれを否決。年明けから、県と町による区域内の地権者約410人への個別説明が進められてきた。  そして3月5日、益城町都市計画審議会は、「益城中央被災市街地復興土地区画整理事業」の計画案を改めて審議し、全会一致でこれを可決した。3月8日には都市計画決定(益城町)がなされ、今後は、9月頃の事業認可を目指して、町と県で各種手続きが進められる予定である。  熊本地震からの復興のシンボルとなる素晴らしい「まちづくり」が実現することを願ってやまない。

 平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン:改訂版(熊本県)↓ http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_16643.html

 創造的復興に向けた重点10項目(熊本県)↓ http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=22175&sub_id=1&flid=129714

 益城中央被災市街地復興土地区画整理事業 説明資料【概要版】(益城町)↓ http://www.town.mashiki.lg.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=79&id=1250&sub_id=1&flid=4820

(県道28号熊本高森線の現状)

(県道28号熊本高森線の現状)

(木山交差点から南に下る町道横町線の現状)

(熊本大学が作成した県道熊本高森線の4車線化模型)

※熊本大学では、益城町の復興計画(県道熊本高森線の4車線化や復興土地区画整理事業)に対する関係住民の不満や不安を少しでも緩和できるようにと、毎週土曜日にオープンラボを開催し、来訪者との意見交換を行なってきた(ましきラボ)。

(今回の舞台)

(2018年3月11日)

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