祝・阿蘇神社楼門復旧完成!
熊本地震の復旧事業で深く関わることになった阿蘇地域。阿蘇神社の楼門保存修理工事完成と竣功祭開催の便りは、私の心を豊かにしてくれるものとなりました。
楼門保存修理工事「竣功祭」
令和5年12月7日、平成28年熊本地震で甚大な被害を受けた肥後一之宮・阿蘇神社の楼門(国指定重要文化財)の保存修理工事が完了し、竣功祭が開催されました。被災から7年8カ月の月日を経て、他の国指定重要文化財5棟や拝殿をあわせ主要社殿の復旧工事が全て完了しました。
これら建造物の復旧には、資金確保面(総額およそ25億円)や技術面(文化財保存と耐震性確保の両立)等において幾多の困難があったと思いますが、関係各位のご尽力のお陰で、この日を迎えることが出来たことに感謝しています。本当にありがとうございました。
阿蘇神社境内順路図|肥後一之宮 阿蘇神社ホームページ
阿蘇神社復旧、7年8カ月の軌跡 熊本地震で甚大な被害 7日に楼門の「竣工祭」|熊本日日新聞(2023年12月6日 07:59)
阿蘇神社の主要社殿が復旧完了 国重文の楼門「竣工祭」 熊本地震から7年8カ月で|熊本日日新聞(2023年12月7日 18:22)
熊本地震で被災した重文の阿蘇神社「楼門」 復旧し完成式典|NHK
7年8か月ぶりに復活 倒壊した阿蘇神社の復旧完了|日テレNEWS NNN
熊本地震で全壊 国重要文化財 阿蘇神社の楼門が完成|TKUテレビ熊本
「末永く…」熊本地震で被災した『阿蘇神社の楼門』が復興 地域住民たちがくぐり初め|RKK熊本放送
阿蘇神社の思い出
熊本地震の復旧事業で深く関わることになった阿蘇地域。発災4ヶ月前の平成27年(2015年)12月、私が熊本河川国道事務所(国土交通省九州地方整備局)に着任して最初に向かったのが「阿蘇神社」でした。管内の安全祈願が目的でしたが、以前は「所長たるもの、地域の一之宮を知らなくて仕事になるのか」と諭してくれる大先輩(国土交通省幹部)もいらして、新任所長は赴任先の地誌を一生懸命勉強したものです。
阿蘇神社は、阿蘇のカルデラ湖を切って落として美田を開き、農耕の道を教え国土の開拓に尽くされたとされる健磐龍命を主祭神とします。11世紀以降、肥後一之宮と仰がれ、肥後国の総鎮守神として広く尊崇を集めてきました。
その年の豊作を祈願する3月の田作祭、青田の順調な生育を願う7月の御田祭、秋の実りを感謝する9月の田実祭など、阿蘇神社で執り行われる一連の神事は、国重要無形民俗文化財「阿蘇の農耕祭事」として、私を含め、訪れる人々の心を豊かにしてきました。
JR豊肥線に乗って訪ねた平成28年(2016年)3月の「火振り神事」。当時は国指定の重要文化財である楼門も健在で、その雄姿は今もしっかりと私の目に焼き付いています。しかし翌月、熊本地震によって拝殿などとともに倒壊。私は、地震によって受ける可能性のあったさらに大きな被害を、阿蘇神社が身代わりになって引き受けてくださったのではないか、このように考えてきました。
それだけに、この度の楼門保存修理工事完成と竣功祭開催の便りは、私の心を豊かにしてくれるものとなりました。
阿蘇神社の思い出(元熊本河川国道事務所長・森田康夫)/一筆|熊本日日新聞(2022.5.12)
阿蘇神社の思い出
(2023年12月10日)
関連ページ(熊本国土学)