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洪水に備える<『かがやく豊橋』④>

★霞堤と放水路整備に代表される豊川治水の歴史と豊橋の発展。洪水から地域を守るため、引き続き、各種防災・減災対策に取り組んでいく必要があります。


小学校4年生から繰り返し学ぶ「防災」

 今回からは2回にわたって、「防災」をテーマとして取り上げたいと思います。小学校や中学校では従来から防災教育が行われていましたが、2011年(平成23年)の東日本大震災は、学校教育における「防災教育の充実」を強く求めることになりました。現在、小学校の社会科(小学4年生~6年生)と中学校の社会科(地理的分野)では「防災学習」が繰り返し展開されています。

 義務教育課程の社会科における「防災学習」は、都道府県レベルの防災活動を学ぶ地域学習(小学4年生)に始まり、自然災害が頻発する日本の国土条件を学ぶ地理学習(小学5年生)、自然災害からの復旧・復興を関係機関が連携して行っていることを学ぶ公民学習(小学6年生)を経て、我が国の自然災害と防災への取り組みを幅広く学ぶ系統地理・地誌学習(中学生)に至る重層構造となっています。

 小学校社会科(4年生)の学習指導要領・同解説によると、学習単元「自然災害から人々を守る活動」では、地震災害、津波災害、風水害(豪雨、洪水、崖崩れや土石流などの土砂災害、突風や竜巻などによる災害)、火山災害、雪害などの中から、県内において過去に発生した自然災害を取り上げて、地域の「関係機関」や人々が協力をして対処してきたこと、及び今後想定される災害に対して様々な備えをしていることを学ぶことになっており、災害事象毎に、例えば次のような記載内容(例示)が示されています。



 小学4年・社会科で学ぶ「水インフラ」「防災」「先人の働き」(建設マネジメント技術2022.7)


社会科副読本『かがやく豊橋』で学ぶ、洪水への備え

 豊橋市教育委員会が作成した小学校3・4年生向けの社会科副読本『かがやく豊橋』では、一級河川・豊川の治水を中心テーマとして、「洪水への備え」に関する次のような学びの機会が提供されています(第4章第3節「4.安全なまち豊橋(3)さい害にそなえる」に掲載)。



社会科副読本『かがやく豊橋』(豊橋市教育委員会)の学習コンテンツ


 豊橋市防災ガイドブック|豊橋市


 防災・災害情報|豊橋市


 防災危機管理課|豊橋市


豊川治水の歴史と豊橋の発展

 一級河川・豊川は、その源を愛知県北設楽郡設楽町の段戸山(標高1,152m)に発し、愛知県東部の山間渓谷を流下した後、宇連川との合流や豊川放水路の分派を経て、三河湾に注いでいます。

 流域内の降水量は上流部で多く、下流部で少ないという傾向があり、河道の勾配も急なことから、豊川は、上流で降った大量の雨が一気に下流の平地に流れるという特徴を有しています。また、中下流部で川が大きく蛇行していることもあいまって、豊川流域は歴史的に度々洪水に見舞われてきました。

 こうした背景から、豊川中下流部では江戸時代より「霞堤」と呼ばれる不連続堤を設け、洪水を霞地区内に遊水させることで、吉田(今の豊橋)の城下町を洪水から守ってきた・・・という歴史があります。そのお陰もあって、江戸時代の吉田は、東海道五十三次の34番目の宿場として、また豊川・三河湾の舟運や伊勢詣での船旅の湊町として大いに賑わっていました。

 しかしその一方で 、霞地区(牛川、大村、下条、当古、三上、二葉、賀茂、金沢、東上の9箇所)では洪水の度に甚大な被害が発生していたことから、昭和時代に入って、国(当時の内務省)は抜本的な治水対策に取り組み始めます。それが「豊川放水路」で、1927年(昭和2年)度の豊川改修計画策定着手に始まり、1938年(昭和13年)度からは直轄改修工事がスタート、太平洋戦争等の影響により工事は一時中断されましたが、1957年(昭和32年)度から本格的な工事が再開し、1965年(昭和40年)度の放水路完成(豊川右岸の大村、当古、三上、二葉の4箇所の霞堤も締め切り)によって、洪水の被害は格段に緩和されるようになりました。

 それでも、豊川流域の洪水被害が完全になくなった訳ではありません。1968年(昭和43年)の台風10号、1969年(昭和44年)の台風7号、1974年(昭和49年)の台風8号、1979年(昭和54年)の台風20号、1982年(昭和57年)の台風9号、1991年(平成3年)の台風18号、1994年(平成6年)の台風26号、2000年(平成12年)の台風14号、2003年(平成15年)の台風15号、2004年(平成16年)の台風6号・台風23号、2011年(平成23年)の台風15号など、豊川左岸の4つの霞堤地区(牛川、下条、賀茂、金沢)では浸水被害が生じています。

 豊橋市域を含めて、発展する流域内の人々と財産を洪水の危険から守るためには、豊川霞堤地区浸水被害軽減対策をはじめ、引き続き豊川の改修事業を進めるとともに、上流に洪水調節等の目的を持つ設楽ダムの建設を進める必要があります。


 豊川|国土交通省


 豊川|豊橋河川事務所


 霞堤地区防災情報ポータル|豊橋河川事務所


 豊川霞堤地区浸水被害軽減対策計画(豊川霞堤地区浸水被害軽減対策協議会)|豊橋河川事務所


 設楽ダム|設楽ダム工事事務所


 設楽ダム建設事業の再評価|中部地方整備局



豊川(豊橋市役所展望ロービーから下流を望む)


豊川(豊橋市役所展望ロービーから上流を望む)


豊川の流れと豊橋(とよばし)


朝霧にかすむ豊川と遊歩道


大雨・洪水等に備える

 近年、想定を上回る豪雨が頻発しています。豊橋市では豪雨等災害に備えるため、災害対策基本法に基づき「豊橋市地域防災計画(風水害等災害対策計画)」を策定するとともに、地域内の関係機関と連携しながら、様々な防災・減災対策に取り組んでいます。

 ①地域防災力の強化(防災啓発、自主防災組織強化)

  ・校区、町、小中学校、団体等での防災訓練や防災講話

  ・地域の防災リーダーの養成とフォローアップ

  ・自主防災組織強化のための資機材・備蓄品の整備

 ②住民啓発

  ・防災ガイドブック(ハザードマップを含む)の作成・配布

  ・避難所誘導標識の整備

  ・標高看板の整備(浸水想定区域周辺)

 ③情報伝達体制の強化(複線化)

  ・同報系防災行政無線

  ・MCA無線(避難所、防災拠点、消防団等)

  ・豊橋ほっとメール

  ・防災アプリ「ハザードン」

  ・豊橋防災ラジオ〈FMとよはし〉

 ④避難所及び防災活動拠点の整備

  ・第一指定避難所(市民館等)、第二指定避難所(小中学校等)、福祉避難所

  ・津波防災センター、津波避難ビル

  ・帰宅困難者支援施設

  ・防災活動拠点(総合スポーツ公園等)

 ⑤防災施設・設備の強化

  ・防災備蓄倉庫

  ・飲料水兼耐震性貯水槽

 ⑥各種防災計画作成、広域連携等協定締結

 ⑦総合防災訓練、災害対策本部設置運営訓練の実施


 豊橋市地域防災計画/豊橋市水防計画|豊橋市


 豊橋市の取り組み/防災ガイドブック|豊橋市


 洪水ハザードマップについて|豊橋市


 また、出水時には、◆災害対応体制を確保(構築)するとともに、◆関係機関(気象庁や河川管理者など)が発信している降雨・水位・ライブカメラ情報等の収集・分析、◆避難対策(避難勧告等の発令、住民や施設管理者への情報伝達など)、◆災害広報(報道機関への対応、住民からの問合せ窓口の一元化など)、◆避難所開設、・・・といった流れで、危機管理オペレーションを実施しています。

 さらに、大規模な被害が発生した場合には、◇受援体制の構築、◇ボランティア・民間事業者との連携・協働、◇生活再建支援(罹災証明書の発行など)、◇災害救助法の適用、◇災害廃棄物対策といった事項にも取り組むこととなります。


 国管理河川(豊川)の水位・カメラ情報|豊橋河川事務所


 県管理河川(柳生川・梅田川)の水位情報|愛知県


 豊橋市河川ライブカメラ|豊橋市


柳生川・梅田川の氾濫に備える

 国(国土交通省豊橋河川事務所)が管理している一級河川・豊川だけでなく、愛知県が管理している二級水系の柳生川や梅田川においても、洪水対策(治水事業)を進めていく必要があります。

 特に柳生川では、2008年(平成20年)8月末豪雨で越水等による大規模な浸水被害が発生し、道路や鉄道など重要な交通網が寸断されたことから、現在、「地下河川」を整備することにより浸水被害の軽減を図る事業(大規模特定河川事業)が進められています。


 柳生川地下河川整備事業について|愛知県


柳生川


柳生川地下河川の整備①


柳生川地下河川の整備②


梅田川


(今回の舞台)



(2023年01月22日)


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