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新阿蘇大橋が開通しました!(約束の5年)

 本日、国道325号「新阿蘇大橋」が開通しました。「熊本地震発生から概ね5年(平成32年度内)」での全ての災害復旧プロジェクト(国土交通省直轄道路事業)の完成という目標が達成されました。この日を迎えるにあたり、ご協力をいただきました地域の皆様、並びにご尽力をいただきました全ての関係の皆様に心より感謝申し上げます。



(新阿蘇大橋開通式典2021.3.7)


 災害復旧プロジェクトの完成のたびに、私の気持ちを代弁してくれるのが地元紙・熊本日日新聞の社説。今回も期待に違わぬメッセージを熊本県民の皆様に届けてくれました。


新阿蘇大橋開通 復興と観光再生の象徴に

 2016年4月の熊本地震で崩落した南阿蘇村の国道325号阿蘇大橋に替わる「新阿蘇大橋」が、きょう開通する。黒川をまたいで国道57号と南阿蘇方面を結ぶ全長約525メートル。地震5年の節目を前に、熊本都市圏と阿蘇地域をつなぐ幹線道路の復旧が全て完了する。

 地震で寸断された主要交通ルートの整備は、復興を進める上で欠かせない重要事業だった。19年9月の県道熊本高森線俵山ルートを皮切りに、20年8月にJR豊肥線、同年10月には国道57号北側復旧道路と現道、と続き、そのたびに阿蘇地域に活力をもたらしてきた。

 締めくくりとなる新阿蘇大橋の開通により、阿蘇をぐるっと循環できる地震前の姿をようやく取り戻すことになる。地域住民の生活利便性が向上するだけでなく、被災地と観光客を結ぶ懸け橋にもなろう。真の復興と阿蘇観光再生の象徴となることを期待したい。

工期を大幅に短縮

 新阿蘇大橋は、崩落した旧橋の約600メートル下流に位置する。管理者の県に代わって国が整備した。片側1車線で、旧橋にはなかった歩道を下流側に設けた。総事業費は約160億円。

 最大の特徴は、将来的に再び地震が発生することを想定し、構造を工夫した点だ。通常は一続きの橋桁を使うところ、推定活断層の上部に当たる部分の橋桁をあえて独立させることで、被害が広範囲に及ぶことを防ぐ。被災後の復旧の迅速化にもつながるという。

 北側復旧道路などと同様、工期短縮にも努めた。24時間態勢で施工し、特殊工法の採用や資材の大型化などで作業効率を高めた結果、通常に比べ1年4カ月短縮できたという。早期復旧は、今なお以前の暮らしを取り戻せずにいる人たちの励みにもなろう。

コロナ時代の誘客

 阿蘇観光の玄関口である新阿蘇大橋の開通は、地震で大きく落ち込んだ宿泊客を回復軌道に乗せる足掛かりとなる。

 しかし、首都圏1都3県に発令された新型コロナウイルス緊急事態宣言は再延長が決まり、全国で停止している観光支援事業「Go To トラベル」の再開は4月以降にずれ込みそうだ。残念ながら観光客のV字回復は当面望めそうにない。

 それでも、県内や近県からは多くの人たちが訪れるだろう。飲食店や物産施設などは感染対策を徹底し、安全安心な受け入れに努めてもらいたい。

 同時に、コロナの時代に応じた誘客策を探ることも必要ではないか。県は昨年、旅行先で余暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の実証実験を阿蘇市で実施した。他都市では、次世代移動システム「MaaS(マース)」を効率的な観光地巡りに活用する動きもある。新たな観光スタイルの確立は、同じ観光地として復興を目指す県南の豪雨被災地に進むべき道を示すことにもなろう。

地震の記憶新たに

 新阿蘇大橋の南阿蘇村河陽側には、国、県、村が共同で展望所を整備。52台分の駐車場と休憩スペース、売店があり、新橋開通に併せてオープンさせる。新阿蘇大橋の全景や立野峡谷、熊本平野までが一望でき、新たな観光スポットとしてにぎわいそうだ。

 一方、同村立野側の国道57号沿いにも、旧橋のあった場所に駐車場が整備されている。地震による大規模な斜面崩落とその復旧の経緯を記した石碑が立つ。かつて阿蘇大橋があったことを伝える表示板もあり、その奥の立野峡谷中腹に目を向けると、崩落した橋桁の一部が「あの日」から引っ掛かったままになっている。

 熊本地震の記憶を新たにする貴重な場所である。新阿蘇大橋とともに発信していきたい。』(2021年3月7日)


(令和3年3月7日付け 熊本日日新聞特別紙面)


(新阿蘇大橋全景)


(新阿蘇大橋)


(地震による大規模な斜面崩落とその復旧の経緯を記した石碑)


(「あの日」から引っ掛かったままになっている崩落した橋桁の一部)


(観光客で賑わう道の駅「あそ望の郷くぎの」)


国道325号新阿蘇大橋ルート開通(熊本復興事務所)


 この「新阿蘇大橋」の設計にあたっては、現在私が勤務する国土技術政策総合研究所(国土交通省)が全面的に技術支援しており、将来大規模地震が起きたとしても橋全体が崩落しにくくするために、予測が困難で不確実性が大きい断層変位を受け流す構造計画を取り入れています。また、深いV字谷となっている渡河部の構造形式は、将来断層変位の影響で端支点の支持が失われたとしても主桁が落ちにくくなるよう片持ち架設工法によるPCラーメン橋を採用しています。これ以外にも、様々な技術的な工夫が組み込まれており、熊本復興事務所に併設している国総研の出先機関「熊本地震復旧対策研究室」が、これまでずっと技術的なサポートを実施してきました。


新阿蘇大橋の計画における技術的な工夫(国土技術政策総合研究所)


「あれから5年」がたちました。

 熊本地震で被災した阿蘇地域への幹線道路は全て復旧することができました。

「約束の5年」を地域の皆様と迎えることができました。

 次は、南阿蘇鉄道の全線再開です。2023年の夏を心待ちにしています。



(平成28年4月16日付け 熊本日日新聞号外)


(本震発生直後の事務所執務室)


(国道57号大規模斜面崩壊現場を視察する(4/18早朝5:50))


(本震発生から数日後の事務所防災室食事風景)


国道325号阿蘇大橋の架替イメージ/PC3 径間連続ラーメン箱桁


マネジメントの視点からみた平成 28 年熊本地震からの復旧・復興

〜現場の最先端から激動の 1 年を振り返る〜


(2021年3月7日)

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