水害に備える
★紫陽花の花が美しく映える季節となりました。と同時に、このシーズンは、梅雨前線による集中豪雨への対応(備え)が求められる季節でもあります。熊本河川国道事務所が管理する一級水系白川・緑川でも、出水時に備えた様々な準備・対策が実施されています。
(5月28日、九州北部も梅雨入りしました)
【白川・緑川の過去の水害】 白川と緑川はいずれも、過去に何度も大きな洪水を経験し、その度に流域は被害に見舞われてきました。中でも、昭和28年6月26日に発生した大水害(6.26水害)による被害は甚大で、当時の記憶は65年たった現在も、年配の人々によって語り継がれています。
白川の過去の水害(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/river/shirakawa/suigai/index.html
緑川の過去の水害(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/river/midorikawa/midorikawa_suigai/index.html
【水防災意識社会の構築に向けて】 河川管理者である国(国土交通省)や県では、こうした洪水に備えるため、堤防の整備などの施設整備(ハード対策)を進めてきましたが、平成27年9月に発生した関東・東北豪雨による大規模な浸水被害を契機として、国土交通省は新たな方針を打ち出しました。それが、「水防災意識社会の再構築」と呼ばれるものです。 これは、氾濫が発生することを前提として社会全体で常に洪水に備える「水防災意識社会」を再構築するため、河川管理者、県、市町等が連携・協力して、減災のための目標を共有し、ハード対策とソフト対策を一体的、計画的に推進するもので、白川・緑川でも新たに協議会が設置され(平成29年1月27日、「白川水防災意識社会再構築協議会」及び「緑川水防災意識社会再構築協議会」)、これまでに具体的な目標や取組(方針・内容・工程など)が策定されています。
白川・緑川水防災意識社会再構築協議会(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/river/shirakawa/mizubousaisaikoutikukyougikai.html
【白川・緑川洪水浸水想定区域図の作成・公表】 平成27年5月の水防法改正に基づき、洪水時の迅速で的確な避難行動の推進及び水災による被害の軽減を図るため、「想定最大規模の降雨」により河川(白川水系白川及び緑川水系緑川・浜戸川・加勢川・御船川の国土交通省管理区間)が氾濫した場合に浸水が想定される区域等を新たに作成し公表しています(平成29年5月30日)。
白川・緑川洪水浸水想定区域図(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/bousai/sinsuisoutei.html
【緊急速報メールを活用した洪水情報のプッシュ型配信を開始】 平成30年5月1日から、白川・緑川が氾濫する可能性が高まった時に、対象の地域にいる人に「氾濫の危険をお知らせする情報」を自動発信することとしました。 これは、白川水系白川(熊本市)及び緑川水系緑川・浜戸川・加勢川・御船川(熊本市、宇土市、宇城市、嘉島町、御船町、甲佐町、美里町)の国土交通省管理区間において、洪水情報(指定河川洪水予報の「氾濫危険情報」及び「氾濫発生情報」)の発表を契機として、住民の主体的な避難を促進するために配信する情報を、「緊急速報メール」によってプッシュ型で配信する(受信者側が要求しなくても発信者側から情報が自動配信される)ものです。
白川、緑川で緊急速報メールを活用した洪水情報のプッシュ型配信を開始します!(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/newstopics_files/20180403/k180403.pdf
【熊本地震災害復旧完了、白川・緑川の洪水予報基準水位を通常ルールに】 白川水系白川及び緑川水系緑川・浜戸川・加勢川・御船川の国土交通省管理区間では、平成28年熊本地震により、堤防等の河川管理施設が広範囲にわたって被災したことを受け、平成28年4月28日より洪水予報の基準水位を通常の基準より引き下げ、暫定的に運用していました。が、被災した堤防等の災害復旧工事が平成29年5月31日に完了し、その後の異常等が発生していないことが確認できたため、平成30年2月1日より洪水予報の発表基準を通常の基準に戻しています。
白川・緑川の洪水予報基準水位について~平成30年2月1日より洪水予報の発令基準を通常の基準へ戻します~(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/newstopics_files/k180131-01.pdf
【梅雨期の水防協力態勢確認:白川・緑川水防連絡会及び洪水予報連絡会の開催】 出水期を迎えるにあたり、白川・緑川の水防・洪水予報に関係する官公庁・各種団体等(熊本地方気象台、熊本県、県央広域本部、県央宇城地域振興局、県央上益城地域振興局、熊本県警察本部、熊本北警察署、熊本南警察署、熊本東警察署、御船警察署、熊本市、宇土市、甲佐町、御船町、嘉島町、美里町、陸上自衛隊第8師団、西日本電信電話㈱、九州旅客鉄道㈱、九州電力㈱、(一財)河川情報センター、(一財)日本気象協会、熊本河川国道事務所、立野ダム工事事務所、緑川ダム管理所、九州防災エキスパート、地下街等施設管理者(4機関))が一同に会して、水防や洪水予報に関する情報交換を行うとともに、関係機関相互の協力態勢の確認を行っています。(平成30年4月27日)
白川と緑川の水防体制の強化を図ります!(熊本河川国道事務所)↓ http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/newstopics_files/20180425/k180425_02.pdf
【現地点検、ロールプレイング、水防演習・訓練】 また、梅雨を前に、関係機関が合同・連携して、現地点検(重要水防箇所合同巡視)、ロールプレイング(白川・緑川洪水対応演習)、水防演習・訓練(緑川水防演習、熊本市水防訓練)等を実施しています。
(白川・緑川洪水対応演習:平成30年5月10日)
(緑川水防演習:平成30年5月13日)
【防災教育】 水害への備えは、関係する官公庁・各種団体等の取組だけでなく、流域住民の方々の理解と行動(避難など)が極めて重要なポイントとなってきます。白川・緑川流域においても、様々な「防災教育」の機会が設けられています。
(白川水防災体験:平成29年9月24日)
※地域住民の方々に水害や防災について関心を持ってもらうとともに、水害から身を守るために必要な知識の習得、さらには地域の防災力の向上に資することを目的として、毎年、開催されているイベントで、ゲリラ豪雨体験、流水圧体験、水害避難体験(避難用ボート試乗体験)等が可能です。http://www.qsr.mlit.go.jp/kumamoto/newstopics_files/k170913-01.pdf
(白川地域防災センター(白川わくわくランド))
※白川の歴史や役割、川のしくみなどを「楽しみながら学ぶ」ことの出来る施設です。小学校の見学旅行や水環境の学習、地域の自主防災組織の研修などに対応した「出前講座」(相談に応じた学習講座)や、白川流域での体験学習や座学による講義等で構成される「寺子屋」(公募型学習講座)も開催されています。
(小学校の社会・理科における試行授業)
※熊本市内の小学校(モデル校)では、平成29年度から、社会は「小5:自然災害とともに生きる」、理科は「小5:流れる水のはたらき」の単元において、白川・緑川を教材とした防災教育(実践的授業)が始まっています。
(今回の舞台)
(2018年6月3日)
関連ページ(熊本国土学) <第15回>白川を治める、その難しさ(2016/10/22)