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“水の国”熊本

★昨年4月の熊本地震では熊本市全域で断水し、多くの市民は上水道のありがたさを実感せざるを得なかった。さらに、その水道水は「阿蘇外輪から熊本市まで約20年の歳月をかけて磨かれてきた天然水(地下水)である」というのだから、この貴重なインフラを後世までしっかりと引き継いでいかなければなるまい。

【“火の国”“水の国”熊本】  熊本市の夏の風物詩といえば「火の国まつり」。第40回目となる今年も8月4日~6日にかけて、盛大に開催された。昨年に続き熊本地震からの復興を祈念して「がんばろう!熊本」がテーマ。メインイベントである「おてもやん総おどり」では、58団体、約4,800人の踊り手が、熊本の代表的な民謡「おてもやん」や軽快なリズムの「サンバおてもやん」に合わせて熊本市内の中心部を踊り歩いた。

 火の国まつり公式サイト↓ https://kumamoto-guide.jp/hinokunimatsuri/

“火の国”熊本は、一方で、豊かな水が湧く“水の国”でもある。熊本県内には1,000箇所を超える湧水源があり、国が選定する名水百選に全国最多の8箇所が選ばれている。

「昭和の名水百選」  ・白川水源(南阿蘇村)  ・菊池水源(菊池市)  ・池山水源(産山村)  ・轟水源(宇土市)

「平成の名水百選」  ・水前寺江津湖湧水群(熊本市)  ・金峰山湧水群(熊本市)  ・六嘉湧水群・浮島(嘉島町)  ・南阿蘇村湧水群(南阿蘇村)

(白川水源、轟水源、水前寺江津湖湧水群、六嘉湧水群・浮島)

 また、熊本県内の水道水の80%は地下水で賄われており、うち熊本市(人口74万人の政令都市)にあっては、水道水源の全て(100%)が地下水で賄われている。政令都市としては日本唯一、世界でも稀少な都市となっている。  では、なぜ熊本地域は地下水が豊富なのか?  一つ目の理由は、地下水を浸透、貯留させる地層があること。熊本地域の大地は阿蘇火山の4度の大噴火によって出来上がっているが、この地層はすきまに富み、水が浸透しやすい特徴を持っているため、熊本地域に降った雨は地下水になりやすい。  二つ目の理由は、地下水を浸透、貯留する大きな水がめ(地下水盆)の存在。阿蘇カルデラ西側外輪山の山麓台地から熊本平野の地下は、難透水性の基盤岩が深く、広くて深い盆地状の地下構造となっている。  三つ目の理由は、豊富な降水量。阿蘇山周辺は全国有数の多雨地帯となっており、阿蘇地方で約3,000ミリ/年、外輪山麓の台地部や平野部でも約2,000ミリ/年の降水量がある。  四つ目の理由は、大規模な水田(涵養域)の存在。初代肥後熊本藩主・加藤清正公は、白川の中流域(大津町や菊陽町など)に多くの堰と井手(用水路)を築き、水田開発を行った。水が浸透しやすい性質の土地に水田を開いていったので、大量の水が地下に供給され、ますます地下水が豊富になった。  熊本地域の地下水の主な流動は、阿蘇外輪山西麓の台地部や白川中流域(地下水プール)一帯で涵養され、西南の熊本平野方面に流出するというもの。まさに壮大な阿蘇の「自然のシステム」と、清正公はじめ先人の努力による「人の営みのシステム」が絶妙に組み合わさり、熊本の地下水システムが成立している。  白川中流域の水田地帯を徒歩で(または自転車)で巡ると、水の音が近くに感じられ、心が癒やされる。まさに「“水の国”熊本」を実感することができるのである。

 くまもとの水の成り立ち/水の国くまもと↓ http://mizukuni.pref.kumamoto.jp/one_html3/pub/default.aspx?c_id=33

 世界に誇る地下水都市・熊本/くまもとウォーターライフ↓ http://www.kumamoto-waterlife.jp/base/pub/detail.asp?c_id=50&id=67&m_id=24&mst=0

 水の国・熊本/タモリのブラブラ足跡マップ(NHKオンデマンド)↓ http://www.nhk.or.jp/buratamori/map/list35/route2.html

【熊本市上水道のあゆみ】  熊本市の上水道は、明治42年(1909年)に第3代辛島市長(辛島格)が上水道建設計画案を発表したことに始まり、その後、幾多の曲折と15年もの歳月を経て、第7代高橋市長(高橋守雄)在任中の大正13年(1924年)11月27日に、八景水谷を水源地、立田山を配水池として、ようやく給水が開始された(=市電の開通、歩兵第23連隊の移転の完了とあわせて「熊本市三大事業(大正の三大事業)」と呼ばれている)。この通水開始によって、熊本市民は、台所の蛇口をひねれば、良質な地下水をもととした水道水を自由に使うことができるようになったのである。

 熊本市水道はじまり物語(熊本市水道局)↓ http://www.kumamoto-waterworks.jp/?article_cat=waterservice

 熊本市の水道のあゆみ(熊本市水道局)↓ http://www.kumamoto-waterworks.jp/?waterworks_article=1612

 100年近い歴史をもつ水道発祥の地「八景水谷水源地」は日本近代水道百選にも選ばれており、同地の水道記念館(創設当時のポンプ室)は、国指定有形文化財として往時の姿をとどめている。また、水源地のある八景水谷公園には、豊かな水に育まれた数多くの水生動物が生息し、小さな子どもも水と触れ合うことができる水辺や、熊本の地下水と水道について学ぶことができる「水の科学館」もあり、市民の憩いの場となっている。

 八景水谷送水場・立田山配水池(熊本市水道局)↓ http://www.kumamoto-waterworks.jp/?waterworks_article=3086

 八景水谷公園(熊本市観光ガイド)↓ https://kumamoto-guide.jp/spots/detail/65

(八景水谷水源地)

(八景水谷水源地)

(八景水谷送水場と水道記念館)

 現在、熊本市内では1日に約22万立方メートルの水が上水道として使用されているが、このうちのおよそ4分の1にあたる6万立方メートルを供給しているのが熊本市内最大の水源地「健軍水源地」である。  ここには、全部で11本の井戸があり、そのうち7本は取水井としては珍しい自噴井。中でも代表的な「5号井」は日本最大級の自噴井で、深さ40m、1日に約1万5千立方メートルの地下水が湧き出している(この井戸だけで市民6万人以上をまかなえる計算になる)。

 健軍水源地(熊本市水道局)↓ http://www.kumamoto-waterworks.jp/?waterworks_article=3091

(健軍水源地)

 昨年4月の熊本地震では熊本市全域で断水し、私を含め、多くの市民は上水道のありがたさを実感せざるを得なかった。さらに、その水道水は「阿蘇外輪から熊本市まで約20年の歳月をかけて磨かれてきた天然水(地下水)である」というのだから、この貴重なインフラを後世までしっかりと引き継いでいかなければなるまい。

 水資源保全全国自治体連絡会シンポジウムin熊本市を開催しました(佐久市ホームページ)↓ https://www.city.saku.nagano.jp/smph/kurashi/gesuido/suishigenhozen/symposium2016-11.html

(今回の舞台)

(2017年09月10日)

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