防災道の駅とよはし<穂の国「東三河」③>
★防災、福祉、観光、文化、地域経済など、「道の駅」にはこれまで以上に公的な役割が求められています。「コンビニ」と対極にある施設が「道の駅」という認識も重要です。
全国初開催「もしも訓練フェアin防災道の駅とよはし」
①道路利用者のための「休憩機能」、②道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、③「道の駅」をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域づくりを共に行うための「地域の連携機能」、の3つの機能を併せ持つ休憩施設が「道の駅」です。
1993年(平成5 年)2 月に「道の駅」登録制度が創設され、同年4月に第1回目の登録(103箇所)が行われてから今年で30周年を迎えましたが、これまでに全国で1,204駅(2023年2月28日時点)が登録され、地域活性化の拠点になったり、観光・レジャーの目的地になるなど、「道の駅」は今では道路利用者と地域にとって必要不可欠なインフラになっています。
また、制度創設当初から、「道の駅」には公的な役割を果たすことが求められてきたところですが、最近では、福祉、防災、観光、文化、地域経済など行政(市町村)が抱える様々な分野の課題を解決する場として、益々その役割には大きな期待がかけられているところです。
このうち、防災拠点としての役割を果たすためのハード・ソフト両面からの重点的な支援を行う対象として国土交通省によって選定されているのが「防災道の駅」で、都道府県の地域防災計画等で広域的な防災拠点に位置づけられていることを条件として、全国39駅が選定されています。愛知県(東三河地域)では、「道の駅とよはし」が唯一選定されているところです。
去る(2023年)3月4日、この「防災道の駅とよはし」で、関係機関(豊橋市、国土交通省名古屋国道事務所、全国道の駅連絡会)の連携のもと、道の駅利用者向けの防災啓発、道路管理者向けの訓練、防災ドライバーの育成・啓発を兼ねた防災イベント「もしも訓練フェアin防災道の駅とよはし」が開催されました。
この防災イベントは、全国初回開催地として、年間200万人の来場者を誇る「道の駅とよはし」で実施されたもので、今後全国の「防災道の駅」に展開されるとのことです。
道の駅案内|国土交通省道路局
「防災道の駅」について|国土交通省道路局
防災・BCP啓発イベント『もしも訓練フェアin 防災道の駅とよはし』を官民合同で開催|共同通信PRWire
道の駅とよはし 2023道の駅もしも訓練フェア3月4日 キャラクター集合 ハッシーくんうみまるガチャピンひょうだまん 防災道の駅|とよはし防災マンZ★TV
もしも訓練フェアin防災道の駅とよはし|豊橋中央高等学校
防災道の駅とよはし(豊橋市)
もしも訓練フェアの風景①(道の駅とよはし)
もしも訓練フェアの風景②(道の駅とよはし)
「道の駅」の誕生秘話と重要な役割
「道の駅」は国土交通省の行政施策(道路局のヒット商品)ですが、もとは『鉄道駅にはトイレがあるのに、なぜ道路にはトイレがないんだ?』という、民間の方々の素直な疑問(提案)から生まれました。
「道の駅」創設の経緯、および「道の駅」の登録要件(現在)は概ね次の通りですが、今や「道の駅」は全国に1,204駅(2023年2月28日時点)、年間延べ2億人以上が利用するわが国を代表する地域拠点になっています。
<「道の駅」創設の経緯>
・1990年(平成2年)1月
中国地域のシンポジウムで「道路に駅があっても」と提案
・1991年(平成3年)10月~1992年(平成4年)4月
山口県、岐阜県、栃木県において「道の駅」の社会実験
・1993年(平成5年)1月18日
「道の駅」の提言(「道の駅」懇談会会長:越正毅教授)
・1993年(平成5年)2月
「道の駅」登録・案内制度の創設
・1993年(平成5年)4月
第1回登録(103箇所)
<「道の駅」の登録要件>
・無料で24時間利用できる
①十分な容量を持った駐車場
②清潔なトイレ(原則、洋式)
③子育て応援施設(ベビーコーナー等)があること。
・道路及び地域に関する情報を提供する施設があること。
・文化教養施設、観光レクリエーション施設などの地域振興施設があること。
・施設及び施設間を結ぶ主要経路のバリアフリー化がされていること。
そして、「道の駅」の今後のあり方を考える上で最も重要なポイントは、「売上至上主義の全国画一的な施設になってしまわないこと」ではないかと思います。2015年(平成27年)、ユニクロのヒートテックやネスレ日本のネスカフェアンバサダーなど大手企業のヒット商品が名を連ねるなかで、「道の駅」は公的施設として初めて「日本マーケティング大賞」を受賞しています。その受賞理由は、「旅行者、地域住民、農産物生産者、地方自治体、道路管理者のすべてのステークホルダーがウィンウィンとなるビジネスモデルは斬新」「まさに日本発のユニークなマーケティング事例」ということでありました。そういう意味では、全国の津々浦々にある「コンビニ」と対極にある施設が、まさに「道の駅」ということになるのではないでしょうか。
「我が町は隣町と違っているから存在価値がある」、地方を支える砦、人と人との絆の回復、防災機能、小物流拠点、・・・。「道の駅」にはこうしたことを大切にして貰いたいと思います。詳しくは大石久和先生のYouTube動画をご覧ください。
【道の駅】道の駅の生みの親が語る!誕生秘話と重要な役割!|大石久和のオンライン国土学ワールド
道の駅や国土のあり方を取材し続けてきた「道21世紀新聞(RoutePress21st)」
2004(平成16)年10月の新潟県中越地震の際、「道の駅」が避難所になるなど救援・復旧の防災拠点として役立ったことを教訓に、「道の駅」や国土のあり方を再考しようと、平成17年7月にPre-View号、同年9月に創刊号を発行し、現在(第62号)に至るまで首尾一貫とした取材・編集活動を積み重ねているのが「道21世紀新聞(RoutePress21st)」です。
中越地震の発生から20年近くが経ちますが、これまでの間、「道の駅」の防災拠点化をリードするとともに、わが国の国土のあり方について問題提起・現場取材し続けてきたメディアはここしかないと思います。私も一部筆を執らせていただいておりますが、全体として興味深い紙面となっておりますので、是非ご覧いただければと思います。
道21世紀新聞(RoutePress21st)
シリーズ「国土教育」|道21世紀新聞(RoutePress21st)
(今回の舞台)
(2023年04月16日)