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空の玄関口『阿蘇くまもと空港』、民営化で「創造的復興のシンボル」に

★熊本地震で大きな被害を受けた『阿蘇くまもと空港』。ターミナルビルの建て替えを含めた民営化という全国初の取り組みによって、「熊本地震からの創造的復興のシンボル」として生まれ変わろうとしている。郷土の期待は大きい。

 去る11月16日、香港のLCC「香港エクスプレス」が熊本~香港間で定期チャーター便の運航を開始した。これにより、熊本地震の影響で運休した熊本空港(愛称=阿蘇くまもと空港)発着の国際線は、台湾~高雄線、韓国~ソウル線に続き、ようやく全路線で運航が再開されることになった。

 本県の空の玄関口『阿蘇くまもと空港』は、昭和46年(1971年)4月の開港以来、これまでに延べ約1億人の利用者があり、近年では毎年約300万人を超える旅客者が利用し、東アジアを中心とするインバウンドも増加していた。更に、南海トラフ地震等に備え、九州を支える広域防災拠点にも指定され、機能強化等が進められていた。  しかしながら、昨年(2016年)4月14日及び16日の2度にわたり震度7の激震が発生した平成28年熊本地震により、阿蘇くまもと空港では国内線ビルが大きく損壊し、国際線ビルでも設備の一部が壊れた。これに伴い、平成28年度(2016年度)の国内線利用旅客者数は約290万人と、前年度より約7%減少。国際線は、前年度の半数以下の約3万4000人にとどまることとなった。更に、空港の周辺地域も、建物の倒壊、宅地の亀裂・陥没や擁壁崩壊、道路の閉塞・寸断等、熊本県内でも特に甚大な被害を受けた。  こうした中、熊本県は、熊本地震により甚大な被害を受けた熊本都市圏東部地域である益城町、西原村及び熊本市東部地区並びに大津町及び菊陽町の持つ可能性を引き出し、創造的復興を推進するグランドデザインとして『大空港構想Next Stage』を策定。このなかで、空港を「創造的復興のシンボル・起爆剤」として位置付け、その核となるプロジェクトとして、空港民営化によるターミナルビルの建て替えを国に要望してきた。  もともと、阿蘇くまもと空港の周辺地域は、空港や益城熊本空港IC等の交通結節点や先端産業の企業等の集積があり、熊本都市圏のベッドタウンとしても人口が増加するなど発展してきた地域で、熊本県では、阿蘇くまもと空港とその周辺地域を一体のものとして「大空港」と捉え、地域の可能性を掘り起こし、その最大化を図る取組みとして「大空港構想」を進めてきた経緯がある。

 平成28年熊本地震の発生から1カ月近く経過した熊本空港を訪ねて(トラベル Watch)↓ https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/758013.html

 第48期事業報告書(平成28年度)(熊本空港ビルディング株式会社)↓ http://www.kmj-ab.co.jp/doc/48th_repo.pdf

 大空港構想Next Stage(熊本都市圏東部地域グランドデザイン)(熊本県)↓ http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_18164.html

 これに対して、国土交通省は今年(2017年)6月30日、阿蘇くまもと空港の民営化について、運営開始の時期を2020年4月頃とする基本スキーム(枠組み)案を発表した。熊本地震で被災したターミナルビルの建て替えを含めて運営権者に委ね、事業期間は48年間を想定。新ターミナルビルは2022年度中の整備完了を目指し、それまでの間は国が建設する別のビルを使う。ターミナルビルの建て替えを含めて運営権者に任せるのは全国初の事例であり、「熊本地震からの創造的復興のシンボル・起爆剤」となる骨格プロジェクトとして、関係自治体や地元経済界などから大きな期待が寄せられている。

 熊本空港の運営委託に係る民間投資意向調査の開始(国土交通省)↓ http://www.mlit.go.jp/common/001190649.pdf

 熊本空港特定運営事業の実施に係るマーケットサウンディングのご案内(国土交通省)↓ http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk5_000034.html

(阿蘇くまもと空港)

(阿蘇くまもと空港)

(肥後大津駅/愛称「阿蘇くまもと空港駅」)

※現在、肥後大津駅~熊本空港間を結ぶ無料の空港ライナーが運行されている(30分毎)。 ※一昨日(2017年12月1日)、熊本県は、熊本空港へのアクセスを強化するため、JR豊肥本線を三里木駅から分岐・延伸するなど、熊本市中心部と熊本空港を結ぶ新ルートの整備について検討を再開すると表明した。

(今回の舞台)

(2017年12月03日)

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